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飛車落ち上手用新戦法!飛車落ち上手3手目△5四歩戦法

皆さんは平手将棋はよく指されると思います。
しかし駒落ち将棋はあまり指されない、指したことがないという方は意外にいるのではないでしょうか?
リアル道場だと棋力向上、チェックのために駒落ちを導入している所は結構見かけるという話を聞きます。
他にプロの指導対局などで駒落ちで教えてもらう事もよくありますね。
よく見かける手合いだとやはり王道は二枚落ちですが、今回は飛車落ちの新戦法、しかも上手側の新たな指し方を紹介したいと思います。

それが飛車落ち上手3手目△5四歩戦法(下図)です。
hishaoti3teme54f.jpg
見ての通り飛車落ちの上手で3手目に△5四歩と突く指し方です。
飛車落ちは普通は基本的に3手目は△4四歩と角道を止めて雁木に組むんで下手の右四間を受けて立つのが定跡です。
実際それでも上手側には紛れさせる手段は多く、下手側としても相当な知識がないと勝ちきれません。
しかし下手側が本当に勉強を積んでマスターされた場合、上手側はほとんど力を出せる事なく終わってしまいます。
そして基本的に飛車落ちは、下手の攻め対上手の受け という構図になりやすいのも特徴です。
駒落ちなので当然そうなるのはしょうがないのですが、せっかく大駒の角があるのだから、それをもっと活用した指し方はできないのか・・・と考えた人がいます。
例によってまたGAVA角の急所のGAVA氏考案の新作戦です。

角使いと謳われるその角捌きは、平手だけに留まらず駒落ちの飛車落ちにまで興味を注ぎました。
せっかく角という大駒があるのにそれを使わないのは勿体無い、そしてもっと何か上手側に新たな着想を少しでももたらせないか、という想いがこの飛車落ち3手目△5四歩を完成させました。

その威力は凄まじく、腕に自信のある低段者には負け知らずどころか、圧勝する始末でこの戦法の恐ろしさと序盤構想力を見せ付けられました。
何よりこの戦法は他の飛車落ち定跡・・・雁木やお神酒指しよりも伸び伸びと上手が角を使えるという事が大きいのです。
序盤に細かい注意や読みをかなり必要としますが、逆に言えば力を出しやすい力戦の展開になりやすいということです。
飛車落ち上手を持って、下手と指すのに何か面白いことはできないか・・・と悩まされる上手の方々は是非この戦法を試しに使ってみてはどうでしょうか?
新たな発見が見つかるかもしれません。


・飛車落ち上手3手目△5四歩戦法
downl.jpg

ミラー

ダウンロードしたzipファイルを解凍すると、kifファイルが中に入っています。
kifファイルはフリーソフトの『kifu for windows』で再生する事ができます。


Andoroid・iPhone用ダウンロード
Andoroid・iPhone用ダウンロード2 SkyDrive版(zipで落とせない人用)
AndroidやiPhoneだと文字コードの都合でkifが読み込めないという現象が起こりました。
それら用に文字コードを修正した物も用意してみました。
Android・iPhoneユーザーの方はこちらをダウンロードしてください。
zipで落とせない人のためにSkyDriveでkifのまま公開した物もあります。

Android用は『Kifu for Android』で再生する事ができます。
iPhone用は『kif for iPhone』で再生する事ができます。


・ファイルの中身
飛車落ち上手の新戦法『3手目△5四歩』についての紹介の講座が6章分入った棋譜集です。
これを使って飛車落ちに新たな風を吹かせてみるのも面白いかもしれません。
全国の上手の皆さん、是非この戦法を手に取って下手を苦しめて見ませんか?


目次
●第0章 前置き なぜ3手目△5四歩なのか?飛車落ち定跡雁木の不満
hishaoti1.jpg
そもそもGAVA氏は何故飛車落ち右四間飛車に不満を感じたのか?
それについての前知識を右四間定跡を軽くおさらいして振り返ります。
上の図の通り、下手は右四間飛車に構え、上手は雁木に構えています。
受けて立つ上手の姿勢は立派ですが、やはり受身という印象が強い。
他にも色々な感じた不満点をまとめています。
実際は右四間定跡は難しいのですが、それをあえて嫌った理由、印象が伺えると思います。


●第1章 下手馬作り型
sitateumadukurigata.jpg
まずは飛車落ち3手目△5四歩の1番手を飾るのは『下手馬作り型』です。
そうです、どう見てもこの3手目△5四歩を見たら誰もが思いつく角交換からの▲5三角。
これで下手はあっさり有利になる・・・というのが平手の常識なのですが、それに一石を投じ、あえて飛車落ちに応用したのがこの『下手馬作り型』です。
あえて下手に馬を作らせ、上手側は角を手持ちに自由度の高い駒組みをして、4枚で玉を囲い△8五桂や△6四角と打って攻めを狙う・・・飛車落ち上手とは思えぬ玉の堅さとオフェンシブな布陣です。
この上の図は既に上手作戦勝ち模様で上手が主導権を握っています。
馬を作ったはずなのに何故か苦しい・・・と不可思議に下手は思う事でしょう。
この形は上手も遭遇率が最も高いと思われるので重点的に勉強をしておく必要があります。
他にも右玉型など指し方のバリエーションがあります。


●第2章 前置き お神酒指しについて
omikizasi.jpg
第二章に入る前に飛車落ち定跡のもう1つの上手の戦法『お神酒指し』について紹介をします。
この思想は本編二章の『下手角交換居飛車型』とほぼそっくりなので、その考え方がほとんど応用できます。
基本的にお神酒指しは中住まいにして攻めの戦法ですが、それを具体的にどのような攻め筋を狙っているのか、について前知識として知っておく必要があるので紹介することにしました。


●第2章 下手角交換居飛車型
sitatekakukoukanibisha.jpg
前置きで紹介し、次に来るのが本編第二章『下手角交換居飛車型』です。
上図を見ての通り、基本はお神酒指しのように端を中心に攻めるのですが、違いは玉を囲っている事と右金の動きをあえて保留しているところです。
これにより通常のお神酒指しより少しでも差別化と得をしようという狙いを秘めています。
単なる攻めの指し方だけでなく、右金の動きを保留する事で、一手でも早く仕掛けを狙う、陣形のバランス、▲8二角問題、そして中終盤での右金の活用など、色々高度な知識や読みが必要となる戦型です。
上手の力と読みが相当必要とされますが、それだけの見返りも十分期待できる戦型です。


●第3章 上手5筋位取り型
uwate5suzikuraidori.jpg
下手は3手目△5四歩にはどうも角交換はまずいのでは?と思い居飛車で対抗してくる事もありえるでしょう。
そこで今度は△5五歩と位を取って大模様に構えるのが上手の真の狙いです。
それが『上手5筋位取り型』です。
上図は上手くいった理想型ですが、こうなれば上手の角がいい感じに使えており、下手の角はあまり使えていない感じです。
飛車落ち上手の天敵の1つである矢倉引き角もこの戦法の前では全く怖くありません。
何故なら5筋の歩を突けていないからです。
この指し方は序盤から中盤の入り口にかけて色々細かい注意が必要ですが、それを乗り切れば作戦勝ちも望めます。


●第4章 下手振り飛車型
sitatehuribishagata.jpg
もう上手の角交換作戦にはこりごりだ!と思った下手は次にマイペースに指そうと▲6六歩と止めて振り飛車を狙ってくることもあるかもしれません。
それこそが上手の最も待ち受けるところで、これが上手の理想の布陣の1つ『下手振り飛車型』への陣形です。
5筋の位を取り、ここから金銀をどんどんと押し出して位を確保していきます。
二枚銀の好形の働きが良く、下手はかなり苦戦を強いられるでしょう。
そもそも下手から角道を止めるなんて事は上手としてはありがたいので、伸び伸びと角が使えます。
この振り飛車側を仕留めればもはや上手に怖いものはありません。


●第5章 下手石田流型
isidaryuugata.jpg
第五章からは少々イレギュラーな指し方を紹介します。
まずは現代平手将棋のメジャーな振り飛車、対石田流への指し方です。
下手が角道を止めずに突っ張って指してきた場合にはどうしたらいいか?
その具体的な指し方を紹介します。
基本的に乱戦模様になるので上手の力が発揮しやすい戦型になります。
お互いの角が乱舞して生き生きとする将棋は非常に華やかです。


●第6章 下手中飛車型
sitatenakabisha.jpg
最後の第6章を締めるのはやはり現代平手将棋の振り飛車『ゴキゲン中飛車』です。
下手の中飛車は駒落ち将棋では相当脅威と言われ、上手泣かせの戦法と言われています。
それに対して飛車落ち3手目△5四歩は真っ向から挑みます。
上図は何とか理想図に組んだ形ですが、ここまで組めるのなら少なくとも上手も一方的・・・という展開ではなさそうです。
強敵の『下手中飛車型』ですが、これを何とか倒す事ができればもはや怖いものなしです。
上手は△4四歩と突かない事により△4四銀という受けが生じているのがポイントです。


この6章で『飛車落ち上手3手目△5四歩戦法』の紹介は終わりです。
参考として実戦譜なども途中までですが同梱しているので参考にしてください。

いかんせん駒落ち自体のサンプルが少ないので、正直未知数な部分も多いのですが、それでもこの完成度は正直私も驚きました。
序盤構想力に関しては考案者のレベルの高さを思い知りました。
そしてどんな事に対しても自分流を創りたいという開拓精神にも感服しました。
全ての指し方に共通している事は、角が本当に生き生きとした展開になっていることです。
飛車落ちは右四間さえ覚えていれば何とかなる・・・と思っている下手に一発この戦法で痛い目に合わせてやるのも上手の楽しみかもしれません。


詳しくはダウンロードして自分の目で確かめてみましょう。
あくまでこれは大まかな紹介程度で、細かい変化や新手は皆さんで改良していくのも面白いかもしれません。

まさかの一手!?相掛かり△3二銀戦法

相掛かりの常識として『飛車先は金で受けろ』というものがあります。
これは将棋を始めた時に最初に教わるもので、常識的な一手です。

しかし今回紹介する戦法はその常識を一手で打ち破るのです。
面倒な前置きは無しにしてさっそくその局面を見て貰いましょう。
今回紹介するのは『相掛かり△3二銀戦法』(下図)です。
aigakari32gin.jpg
なんということでしょう、通常は△3二金と受けるべきところを△3二銀と受けています。
こんな手を指したら△3四歩と角道も開けられず何もできないと思うのが普通の感覚です。
しかしいざ相手にしてみると、ここから△4二玉~△3一玉の足が早く素早く堅い左美濃に囲えてしまうのです。
その足の早さを利用して後手番でも素早く先行して主導権を握るというのが相掛かり左美濃作戦の狙いです。
他にもひねり飛車にした時に△3二銀型が得になる展開もあり、意外に侮れない戦法です。

今回も書くとなると変化が少々あるのでkifファイル方式での紹介となります。
といっても簡単な狙い筋の紹介だけになるので、そこまで踏み込んでいない現状です。
これもあのGAVA氏考案の戦法なのですが、なんせ相掛かり自体の実戦数も少ないためにこの戦法のサンプルが少ないから、というのが悲しい実情。
狙い筋を大まかに理解して、皆さんで自分流の定跡を作ってください。


・相掛かり△3二銀戦法
downl.jpg

ミラー

ダウンロードしたzipファイルを解凍すると、kifファイルが中に入っています。
kifファイルはフリーソフトの『kifu for windows』で再生する事ができます。


Andoroid・iPhone用ダウンロード
Andoroid・iPhone用ダウンロード2 SkyDrive版(zipで落とせない人用)
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Android用は『Kifu for Android』で再生する事ができます。
iPhone用は『kif for iPhone』で再生する事ができます。


・ファイルの中身
今回は上記の通り簡単な狙い筋の紹介だけです。
1つのkifファイルでまとまる範囲の量なので簡単に見れると思います。
しおり機能で大まかに重要な筋を見れるようにしてあるので、そこをチェックしておけば大丈夫でしょう。
参考棋譜として、この戦法から派生できる『青野流ひねり飛車』の実戦譜も同梱してあります。

詳しくはダウンロードして自分の目で確かめてみましょう。
相掛かりの詳しい定跡などは現在も書籍で出ているので、そちらから応用するのが良いでしょう。



・相掛かり△3二銀戦法ためし読み(フラ盤で一変化だけ紹介)

石田流対△4四歩型△7二飛戦法対策

2011年現在、石田流はトップクラスのプロ棋士も指すA級戦法です。
2000年頃まではアマチュアしか指さないB級戦法と蔑視されており、ここ数年での石田流ブームは少し前では考えられなかった事なのです。

プロでも指されるようになると、当然アマチュアでも指されるようになり、升田時代以来の石田流ブームとなっています。
升田時代には、升田幸三実力制第4代名人升田式石田流を名人戦で指し、大山康晴十五世名人と激戦を繰り広げました。
その影響で一時期アマ棋界では升田式石田流が大ブームとなり相三間飛車が町中の道場で沢山指されたようです。

だが升田式石田流は手詰まり模様となるため、プロではイレギュラーな戦法と見られあまり指されなくなります。

しかし2000年代、振り飛車党御三家の 鈴木大介八段久保利明二冠が石田流に一石を投じます。


鈴木大介八段は石田流はあまり指さない棋士でしたが、棋士仲間の研究会でふとある新手を見つけた事から石田流に新風を吹かせます。
その新手とは何か?
そう鈴木新手▲7四歩新石田流(下図)です。
鈴木新手▲7四歩1
7手目に▲7四歩と7筋の歩の交換を挑むのです。
これに成功すれば、先手だけ一歩手持ちにできるので石田流側も手詰まりにはなりにくくなります。

ですが居飛車側にも対策があり、そのせいで昔はこの▲7四歩は無理筋と言われていました。
その対策は・・・。

上図からの指し手
△7四同歩 ▲同飛 △8八角成 ▲同銀 △6五角(下図)

問題の△6五角鈴木新手
この△6五角のせいで7手目▲7四歩は成立しないと言われていたのです。
ですが鈴木八段は次の一手を見つけ、この新石田流を戦法として成立させたのです。

上図からの指し手
▲5六角(下図)

新石田流▲5六角鈴木流
△6五角に対して▲5六角が鈴木八段の見つけた新手で、この手の発見で石田流側もやれるという事がわかります。
以下の詳しい研究は、鈴木八段が出版している書籍に詳しく載っています。

・決定版 石田流新定跡 2005年1月

鈴木流▲7四歩の新石田流を最初に解説した本。
新石田流の基本的な変化を解説している。
他にも棒金対策など鈴木流独自の指し方を解説。
新石田流の入門書には十分。

・石田流の極意 2006年10月

鈴木流▲7四歩を解説した二冊目の本。
上の新石田流新定跡の後に出版され、新石田流のその後の追加研究が載っている本。
石田流新定跡の新石田流と被っている所は少ないので、石田流新定跡とこの本はセットであると新石田流を尚理解できる。
新定跡同様本組みの指し方も載っている。
石田党なら押さえておきたい一冊。

・勝てる石田流 2011年1月

最近出版された本で、鈴木新手▲7四歩から升田式石田流の方針を解説した本。
鈴木新手▲7四歩の後に改良を加えた新手▲7七角の解説が書かれており、最新の新石田流の定跡本。
この新手の登場でまだまだ新石田流はやれるという結論。

他に鈴木八段以外が新石田流を解説した書籍もあります。

・東大将棋 石田流道場 2004年12月

所司和晴七段が解説している東大将棋シリーズの石田流道場。
かなり網羅的で手の研究量が多い反面読み難さがある本。
その分気になる変化についてよくわかるので、辞書的な使い方がオススメ。
石田流本組み、新石田流、升田式石田流について解説されている。

この本は石田流新定跡が出版される一月前に出た本で、鈴木八段のある研究手が公になっていなかったため、7手目▲7四歩は居飛車良しと結論付けられています。
その一月後に研究手を書いた鈴木八段の本が出たため、この本の結論と現在は少し噛み合わない所があります。
ですがそれ以外の新石田流の変化については、鈴木八段の書籍で触れられていない深い部分に入っているので、研究が生きる新石田流では目を通しておきたい本。

・佐藤康光の石田流破り 2010年4月

2010年に出版された本で、最新の石田流事情が紹介されている本。
実戦の紹介と自身の研究で、ここ最近の石田流の対策がどうなっているかがわかるはずです。
深く掘り下げた本ではないが石田流が今どうなっているかを知るなら十分の一冊。
この本では鈴木新手はやや苦しいという結論。
しかしその後の勝てる石田流の出版により現状の結論は難解。

新石田流のプロの実戦例もいくつか載せておきます。

・新石田流実戦
2004年 銀河戦 鈴木大 対 桐山
2005年 竜王戦 橋本 対 北島
2005年 棋聖戦 鈴木大 対 森け
2005年 棋聖戦 鈴木大 対 堀口
2006年 棋聖戦 鈴木大 対 佐藤康
2006年 棋聖戦 鈴木大 対 佐藤康
2006年 新人王戦 村田顕 対 稲葉
2007年 棋聖戦 久保 対 丸山
2007年 王座戦 久保 対 森内
2007年 順位戦 遠山 対 佐藤紳
2008年 大和証券杯 久保 対 丸山
2009年 順位戦 久保 対 井上
2010年 順位戦 鈴木大 対 佐藤康


現在プロの研究も進み、この新石田流戦法も容易ではなくなりましたが、この7手目▲7四歩の発想が石田党への大きな衝撃となります。


それがもう一人の振り飛車党 久保利明二冠の功績です。
久保二冠は振り飛車党一本の捌きのアーティストと呼ばれ、その駒の捌き(働かせ方)は芸術的と言われるほど。
2010年に棋王、王将のタイトルを取り 見事二冠となります。

この久保二冠は、先手なら石田流 後手ならゴキゲン中飛車と振り飛車一本ながら、何よりもその2つの戦法。
昔ならアマチュアの道場のおじさんしか指さないような戦法を、久保二冠は採用し見事タイトルを取っているのです。

この久保二冠の影響で石田流がさらにアマチュアで流行ります。
そしてこの久保二冠は、石田流の戦法自体に大きな影響を与えているのです。

石田流本組みに対する棒金対策を考案。
・久保流棒金破り
石田流本組みにも棒金戦法という宿敵がいました。
それに久保二冠は独自の対策を編み出します。

isidaboukinkubo.jpg
図は後手が△8三金と棒金に出た瞬間。
ここからの数手が久保流棒金破りの骨子です。

上図からの指し手
▲7八飛 △8四金 ▲6七金 △5四歩 ▲7六金(下図)

kuboryuuboukinyaburi.jpg
△8三金を見て▲7八飛と引き、△8四金の棒金には▲6七金~▲7六金と『金には金で』対抗するという指し方。
これが対棒金の決定策となり、石田流は復活の狼煙をあげました。

この将棋の代表的な一局を載せておきます。

・久保流棒金破り
2000年 王将戦 久保 対 三浦


こうして石田流は天敵の棒金を打ち破り、プロでの評価も復活してきました。
石田流本組みに対する棒金も怖くない。
持久戦になれば攻める展開になりやすい。
石田流は再評価されプロでも指されるようになります。

残る問題は下図の居飛車が△8五歩と突いた瞬間。
isidaryuu85humade.jpg
ここで▲7四歩の鈴木新手だけではどうも難しい。
▲4八玉~▲3八玉からの升田式石田流は千日手模様になりやすい。
さてここからどうしたものか。

そこで2009年久保二冠はさらに石田流で新手を出します。
ヒントは一番最初に紹介した鈴木新手が始まりなのです。
棋王を取る原動力となった新手で久保新手▲7五飛(下図)です。

kubosinte75hi.jpg
△8五歩に対して▲4八玉△6二銀の交換を入れてから▲7四歩 △7二金に▲7五飛と浮くのが新手。
鈴木新手の新石田流▲7四歩からヒントを得て、▲7四歩を突くタイミングを変え、さらに▲7五飛という新手を添えたのです。
以下は難しい将棋になり、先手はいかに駒を捌くかがポイントになります。

この▲7五飛について解説された棋書は現在は二冊だけです。

・久保の石田流 2011年3月

久保二冠が書いた石田流専門の定跡書。
升田式石田流から久保新手▲7五飛・鈴木新手の現在、後に紹介する久保新手▲4八玉など色々な最新の石田流事情を解説している本。
石田流の最近の概要を知るならまずはこの一冊とも言えるべき本。

・佐藤康光の石田流破り

久保新手▲7五飛の対策を最初に書いた本。
実戦譜もあり、久保新手▲7五飛の周辺事情と対策を知るなら欲しい一冊。

この久保新手▲7五飛の実戦譜を紹介しておきます。

・久保新手▲7五飛
2009年 棋王戦 久保 対 佐藤康
2009年 王将戦 久保 対 豊島
2009年 銀河戦 中村亮 対 佐藤紳
2009年 順位戦 阪口 対 横山
2010年 順位戦 久保 対 谷川


因みに久保の石田流によると上の棋譜の久保対谷川戦のように進み千日手、が現状の結論のようです。

しかし石田流はまだまだ終わりません。
鈴木新手・久保新手の登場により▲7四歩をいかにして成立させるか?をプロ棋士達は考えるようになりました。

もう一度戻り△8五歩と突いた下図から。
isidaryuu85humade.jpg

ここから奨励会員達が考えた手順があります。
鈴木新手から始まった▲7四歩が進化していきます。

上図からの指し手
▲7四歩 △同歩 ▲3八銀

sinisidaryuu38gin.jpg
▲7四歩と7筋を突き捨ててから▲3八銀と上がるのが奨励会員が最初に考えた新手法。
これで後手からの△4五角を消して、安全に次の▲7四飛の歩交換を狙います。

以下はそれを防ぐため後手も乱戦模様になります。


しかしこの変化は難解で中央も薄く、石田流側を良くするのは容易ではないと思われたのか、表舞台には現れず消えていきます。
ですがこれでこの戦法は死んだわけでなく、この▲3八銀の発見が新石田流の新たな出発点だったのです。

稲葉陽五段がこれに目をつけ、改良手段を編み出します。
▲3八銀が駄目なら別の手で△4五角を防げば良い。
そう考えたのが稲葉新手▲5八玉(下図)です。

inabasinte58gyoku.jpg
中央に備え角交換にも強いバランスの良い形。
これなら次に▲7四飛と走れます。
それを防ぐため、後手も△7二飛といった手で対抗します。

この稲葉新手の攻防に関しては村山慈明五段が出版しているライバルに勝つ最新定跡という本で少しだけ解説されています。

・ライバルに勝つ最新定跡 2010年9月

ゴキゲン中飛車や横歩取りや一手損角換わりなどプロの最新戦法について解説した本。
最新定跡に絞って解説してあるので、やや上級者向けの本。

他に杉本昌隆七段が出版している相振りレボリューションにもこの稲葉新手の解説がされています。

・相振りレボリューション 2010年11月

相振り革命シリーズの最新版で相振りを中心に書いているのですが、何故かこの稲葉新手の解説も入っています。
他にも相振り関連の内容はかなり充実しており、相三間飛車の解説を始め相振りでの三間飛車の解説がほとんど。
石田流党ならかなり参考になる一冊。
稲葉新手に関してはライバルに勝つ最新定跡とこの本2冊があれば現在は指しこなす事ができるでしょう。

そして稲葉新手の実戦譜の紹介。

・新石田流稲葉新手
2010年 順位戦 杉本 対 中村修
2010年 朝日杯 伊藤真 対 堀口



これで石田流の新手は終わりかと思いきや、まだまだ続きます。
稲葉新手▲5八玉を見た久保二冠は新手を発見します。

それが久保新手9手目▲4八玉(下図)
kubosinte48gyoku.jpg
▲7四歩と突き捨ててから▲4八玉と上がるのが久保二冠の新たに考えた新手。
そしてこの手の驚くべき所は後手の△4五角を受けていないところです。
今までの▲5八玉や▲3八銀とは違う異次元の発想です。

この新手は上記で紹介した本、久保の石田流で解説されているので気になった方は是非見てみると良いでしょう。
本当にこんな手でやれるのか?

それを久保二冠は実戦投入してみせました。

・久保新手9手目▲4八玉
2010年 三段リーグ 都成 対 佐々木勇
2010年 順位戦 久保 対 渡辺


厳密には三段リーグで既に指されていた手ですが、プロの公式戦では久保二冠が初採用。
しかし途中で緩手があり咎められ負けてしまいました。
ですがきちんと指せば互角と久保の石田流では解説されているので、この戦法も十分可能性は秘めているでしょう。

さぁさぁこれで石田流の新手の紹介は終わり・・・と行きたいところですが、まだまだ終わりません。
現代の石田流は新手の宝庫で、まだまだ新手はあるのです。

今度こそ最後の最後で、控える新手は『菅井新手▲7六飛』(下図)
sugaisinte76hi.jpg
初手から▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △8四歩 ▲7八飛 △8五歩に▲7六飛と浮いたのが最近登場した新手菅井新手です。
菅井竜也五段が公式戦で指した手で、石田流を知っている人なら「なんじゃこりゃ?」と思うことでしょう。
狙いは次に▲7七桂と跳ねてからの石田流本組みです。

しかしこの手は流石にない。
誰もがそう思う事でしょう。

何故なら石田流を指して真っ先に教わる事で、ここで▲7六飛と浮くと△8八角成 ▲同銀 △4五角と打たれてしまうからです。
飛車が▲7六飛と浮いているため、通常の返し技の▲7六角が打てなくなっています。
そのため石田流を始めた頃に「ここで▲7六飛と浮いてはいけないんだよ」と最初に教わるのです。

ですがプロの公式戦で菅井竜也五段が採用したことで注目を浴びます。
△8八角成~△4五角には乱戦模様で戦い先手もやれるという事がわかったのです。
そうなるとその後、他のプロも注目し、何と久保二冠もタイトル戦で採用し勝ち星をあげます。
これを機に菅井新手は注目され、石田流の有力手段として認知されます。

さっそく実戦譜を紹介しましょう。

・菅井新手▲7六飛
1906年 その他 吉田一 対 阪田
2010年 王位戦 菅井 対 谷川
2011年 王座戦 阪口 対 谷川
2011年 順位戦 中村亮 対 島本
2011年 棋王戦 久保 対 渡辺


実は菅井五段が採用する100年近く前に一度だけこの手が採用されているのです。
しかも相手は阪田三吉。
内容は熱戦の末後手の阪田が勝っています、

しかしその100年後に菅井五段が採用することで注目度が高まり、石田流はプロで完全な主流戦法となります。
これで石田流の歴史は簡単に振り返り終わりました。

これだけ新手が生まれながら、まだまだ可能性を秘めた石田流。
これからも新手が生まれる可能性は存分にあります。
手詰まり模様と言われていた升田式石田流も研究が進み、打開策があるかもしれない、という所まで来ています。
升田式石田流のプロの採用率も増えており、石田流ブームはまだまだ続く事でしょう。

これで石田流の歴史は終わり・・・といきたい所ですが、最後にもう1つ。
先手番石田流は現状この通りです。



では後手番石田流はどうなのか?
後手番升田式石田流なら、手詰まり模様でも千日手は歓迎なので組めれば問題ありません。
しかし後手番石田流には色々な対策があり、振るために一手損してしまう。
振っても速攻を仕掛けられ咎められてしまう。

なんとかならないかと思っていた時、そこで新手が現れました。
2手目△3二飛戦法(下図)です。
2teme32hisennpou.jpg
何と▲7六歩に△3二飛と振ってしまう新手が現れたのです。
狙いは簡単で『手損せずに升田式石田流に組む』ことです。
しかし上図以下▲2六歩 △6二玉 ▲2五歩には大丈夫なのか?という疑問があります。
それも万全で、以下△3四歩から乱戦模様になりますが、後手指せるという展開です。

詳しくは専門の棋書があるのでそれを読むと良いでしょう。

・2手目の革新 3二飛戦法 2008年8月

2手目△3二飛とは奨励会三段リーグに所属の今泉健司氏が考案した戦法で、久保二冠経由で関東に伝わり、長岡裕也五段が2007年12月11日の竜王戦6組で佐藤天彦を相手に公式戦で初めて用いたことで話題になりました。
この本は2手目△3二飛の基本が詰まっており、入門としては最適です。
これを読めば後手番でも石田流を用いる事が可能になります。

しかし先手側にも新手が出ており、いくつか結論が変わっている局面があるので、そこは久保の石田流で保管しておきましょう。

この2冊があれば△3二飛戦法は指せます。
先手後手石田流一本という事も不可能ではありません。

因みに2手目△3二飛の最新情報で佐藤康光新手△4二銀(下図)というのもあり、現在も発展途上の戦法です。
satouyasumitu42gin.jpg
これは石田流だけを狙った手ではなく、角交換振り飛車模様の展開を目指した手です。
これも有力で現在注目の一手です。

では最後に実戦譜を紹介して終わりましょう。

・2手目△3二飛戦法
2007年 竜王戦 佐藤天 対 長岡
2008年 順位戦 木村 対 久保
2008年 銀河戦 阿久津 対 長岡
2008年 朝日杯 丸山 対 羽生
2008年 王将戦 西尾 対 中村亮
2008年 NHK杯 泉 対 長岡
2008年 銀河戦 平藤 対 長岡
2008年 順位戦 伊奈 対 遠山
2008年 その他 深浦 対 森内
2008年 女流名人戦 千葉 対 石橋
2008年 その他 中倉 対 石橋
2008年 棋聖戦 瀬川 対 長岡
2008年 王位戦 深浦 対 羽生
2008年 NHK杯 堀口 対 久保
2008年 順位戦 大平 対 遠山
2008年 王将戦 高橋 対 久保
2008年 棋聖戦 島 対 久保
2008年 順位戦 深浦 対 佐藤康
2009年 新人王戦 鈴木環 対 田中悠
2009年 順位戦 小林裕 対 平藤
2009年 棋聖戦 丸山 対 佐藤康
2009年 棋王戦 吉田 対 阪口
2009年 朝日杯 阿久津 対 佐藤和
2009年 竜王戦 羽生 対 久保
2009年 順位戦 阿部 対 久保
2009年 その他 中井 対 石橋
2010年 棋聖戦 神埼 対 菅井
2010年 大和証券杯 丸山 対 久保
2010年 竜王戦 丸山 対 久保
2010年 順位戦 金井 対 平藤
2010年 順位戦 島 対 神谷
2010年 王座戦 糸谷 対 菅井
2010年 順位戦 青野 対 戸辺
2010年 順位戦 中村大 対 島本
2011年 順位戦 畠山 対 杉本
2011年 順位戦 田中寅 対 阿部
2011年 順位戦 勝又 対 豊島
2011年 竜王戦 木村一 対 佐藤康
2011年 女流王位戦 清水対 甲斐
2011年 女流王位戦 清水 対 甲斐
2011年 朝日杯 山田雄 対 門倉啓太
2011年 順位戦 村山慈 対 日浦
2011年 順位戦 伊奈 対 小倉
2011年 達人戦 高橋 対 佐藤康
2011年 NHK杯 片上 対 戸辺
2011年 順位戦 杉本 対 田村
2011年 奨励会 三宅 対 西田
2011年 王座戦 日浦 対 門倉
2011年 順位戦 小林裕 対 脇
2011年 順位戦 渡辺 対 谷川
2012年 順位戦 森下 対 安用寺
2012年 順位戦 金井 対 福崎
2012年 順位戦 真田 対 浦野
2012年 竜王戦 日浦 対 平藤
2012年 順位戦 行方 対 阿久津
2012年 順位戦 矢倉 対 中村亮
2012年 順位戦 髙野 対 宮田
2012年 王座戦 渡辺 対 羽生
2012年 順位戦 北浜 対 戸辺
2012年 朝日杯 木村一 対 安用寺
2012年 順位戦 澤田 対 大石
2012年 順位戦 西川 対 門倉
2013年 順位戦 高橋 対 橋本
2013年 棋王戦 村田 対 安用寺
2013年 王座戦 千田 対 阪口
2014年 棋王戦 八代 対 宮田
2014年 順位戦 北島 対 浦野
2014年 順位戦 真田 対 浦野


かなりの数の実戦例ですが、それだけプロでも有力な戦法として認められている証拠でしょう。
石田流はまだまだプロアマでも指される有力戦法だと思います。
これらの知識を踏まえ、皆さんも石田流をどんどん指していきましょう。

では前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。


・石田流対△4四歩型△7二飛戦法対策
△4四歩型△7二飛戦法とはどんな戦法なのか?
さっそく図を見てもらいましょう。

isidatai72hisodenazo.jpg
石田流を指し続けている人なら、この将棋は一度は目にしたことがあるはずです。
△4四歩と角道を止め、△6三銀型~△7二飛とし、次に△7四歩を狙う指し方です。
7筋の位を逆用しようとする指し方で、特に級位者同士の将棋ではよく見かける戦法だと思います。

逆棒銀とも呼ばれ、この戦法の対策に困っている人もいるでしょう。
しかしこの戦法は対策を知っていれば恐れる必要は全くありません。
上の基本図からの次の一手が骨子で、後手の仕掛けを封じる事に成功します。

詳しくはkifファイルにまとめているので、よく読んでこの戦法の対策を知っておきましょう。



石田流対△4四歩型袖飛車
downl.jpg

ミラー

ダウンロードしたzipファイルを解凍すると、kifファイルが中に入っています。
kifファイルはフリーソフトの『kifu for windows』で再生する事ができます。


Andoroid・iPhone用ダウンロード
Andoroid・iPhone用ダウンロード2 SkyDrive版(zipで落とせない人用)
AndroidやiPhoneだと文字コードの都合でkifが読み込めないという現象が起こりました。
それら用に文字コードを修正した物も用意してみました。
Android・iPhoneユーザーの方はこちらをダウンロードしてください。
zipで落とせない人のためにSkyDriveでkifのまま公開した物もあります。

Android用は『Kifu for Android』で再生する事ができます。
iPhone用は『kif for iPhone』で再生する事ができます。



・石田流対△4四歩型袖飛車ためし読み(フラ盤で一変化だけ紹介)

対先手四間飛車決定策!?後手番淡路システム

角道を止める四間飛車は、一昔は振り飛車の王様と呼ばれ、皆が指す王道戦法でした。
最近は角交換振り飛車やゴキゲン中飛車や石田流といった戦法が主流となり、四間飛車は下火になりました。

しかしアマチュアでは根強い人気があり、今も指し続けている人は結構居るはずです。
先手を持っても四間飛車、後手を持っても四間飛車。
そんな人はきっとあなたの棋友に一人はいるでしょう。

そんななんでも四間飛車党の相手に対する戦法として有効な戦法を今回は紹介したいと思います。
それが先手四間飛車に対する戦法『淡路システム』です。

淡路システムとは淡路仁茂九段が考案した先手四間飛車に対する戦法です。
淡路九段は後手番一手損角換わり の生みの親であり、独特の序盤戦術には定評があります。

今回はその淡路九段が考案した『淡路システム』の紹介をしようと思います。
この戦法のキーワードは『後手番』です。



後手番淡路システム

今回はさっそく淡路システムの実戦譜を紹介していきます。
この実戦譜を通してこの戦法を紹介していこうと思います。

2003年 NHK杯 中村修 対 淡路


ポイントはこの第1図です。
awazisisutemu1.jpg
ここまではよくありがちな先手四間飛車対△6五歩早仕掛けの局面です。
ここから後手番という特権を生かして、淡路システムはある事をするのです。

第1図からの指し手
▲3七桂 △6三銀 ▲4七金 △4二金上 ▲4五歩 △9四歩 ▲9六歩 △8一飛
▲2六歩 △6六歩 ▲同銀 △6四歩(第2図)

awazisisutemu2.jpg
少し手数を進めましたが、後手△6三銀と上がりました。
通常の定跡では後手は△8六歩~△6六歩と仕掛けるのですが、淡路システムは△6三銀と上がります。
二枚銀定跡に合流しそうですが、淡路システムは△4二金上~△9四歩~△8一飛とひたすら自陣を整えます。
一体何を狙っているのでしょうか?

先手も駒組みに細心の注意を払っており、もし▲9八香といった手が入れば将来△8六歩 ▲同歩 △6六歩から仕掛けていけば、将来△8七角の隙が生じます。
そのため先手も高美濃を作り、▲4五歩~▲2六歩と無難に手待ちを続けます。
一見これで先手の形が良くなり、先手不満なさそうなのですが・・・。

後手は△8一飛と引き、指す手を全部指し終わった頃に△6六歩と取り込みます。
そして▲同銀に△6四歩!(第2図)

これが後手番淡路システムの骨子の一手なのです。
せっかく△6五歩まで伸ばした歩を△6四歩と戻してまでして、一体何がしたいのか?
正直これを見た人は意味不明と思う事でしょう。

しかしここから後手の構想が恐ろしいのです。
後手番の特権を生かした指し回しをご覧ください。

第2図からの指し手
▲6七飛 △8三飛 ▲9八香 △8一飛 ▲6九飛 △8三飛 ▲6七飛 △8一飛
▲4八金引 △8三飛 ▲2七銀(第3図)

awazisisutemu3.jpg
先手は第2図から▲2七銀と銀冠に組み替えようものなら、△8六歩~△6五歩と仕掛けられ、先手の浮いた▲4九金型を咎められそうです。
よって先手は▲6七飛と一手手待ちをするのですが・・・。
後手もそこで△8三飛と手渡しするのです。

これが後手番淡路システムの狙いなのです。
先手指す手が無く、▲9八香ぐらいですが、これで将来△8七角や△8九角といった筋が生じることになります。
これは後手としては少し満足な交換です。
しかし淡路システムは容赦なくさらに△8一飛~△8三飛と手待ちを続けます。
段々この戦法の正体が見えてきたでしょう。

先手は▲6七飛~▲6九飛と付き合っていては千日手となり、先後交換で指しなおしという事になります。
これでは先手を取った意味がなくなり、先手としては不満なんてものではありません。
よって意地でも手を変えなければいけないのですが、そこで先手は▲4八金引~▲2七銀(第3図)と離れ駒を作らずに銀冠に組もうとします。

しかしそれを見てついに後手は動き出します。

第3図からの指し手
△8六歩 ▲同歩 △6五歩 ▲同銀 △7七角成 ▲同桂 △8九角(結果図)

awazisisutemu4.jpg
先手が銀冠に組みにいったのを緩手と見てすかさず△8六歩~△6五歩と仕掛けます。
これが淡路システムの正体で『ひたすら手待ちをし、先手が痺れを切らして陣形を崩してきた所を攻める』という狙いなのです。
第3図以下は自然に進み、後手は先手の▲9八香型を咎め△8九角と打ち込んで結果図です。
こうなれば先手▲2七銀が玉の脇を薄くした手となり、囲いが弱くなっています。
以下の実戦の進行も空いた玉の脇を王手で攻められる形になり、結果も後手勝ちとなっています。
詳しい進行は上の実戦譜を見ると良いでしょう。

これが後手番の秘策『淡路システム』です。
如何だったでしょうか?
後手番という特権を生かし、千日手模様を見せながら先手に無理な手を指させ、そこから仕掛ける。
実にシンプルですが、これを破る手は容易ではありません。

あの藤井猛九段も先手四間飛車で後手番淡路システムを使われたが、打開策が見つからず、自ら打開したら大苦戦してしまったと語っており、当時『淡路システムには千日手にするしかない』と言う結論を出していました。
その実戦譜は残念ながらありませんでしたが、淡路システムの恐ろしさを物語っています。

●出典 将棋ペンクラブブログ 藤井猛九段「こっちは優秀かどうかで戦法を選んでない。指してて楽しいかどうかなんだから」



アマチュアではあまり千日手は視野に入れる事はありませんが、もし狙ってみようという事があれば一度使ってみると良いかもしれません。
淡路システムのポイントを最後に書いておきます。


・淡路システムのポイント
先手に▲9八香と指させる。(△8七角・△8九角の筋が生じるから)
先手が▲2七銀と上がった瞬間に仕掛ける。
それまではひたすら△8三飛~△8一飛。

【将棋初心者用】居飛車党養成講座セット

居飛車党養成講座
将棋を始めたばかりの初心者のために居飛車の序盤の駒組みをできるだけ解説した講座です。
居飛車党を目指す初心者の方に読んで貰おうと思い公開します。
対居飛車編 対振り飛車編の2つを大まかに解説しています。

居飛車党養成講座
downl.jpg

ミラー

ダウンロードしたzipファイルを解凍すると、kifファイルが中に入っています。
kifファイルはフリーソフトの『kifu for windows』で再生する事ができます。


Andoroid・iPhone用ダウンロード
Andoroid・iPhone用ダウンロード2 SkyDrive版(zipで落とせない人用)
AndroidやiPhoneだと文字コードの都合でkifが読み込めないという現象が起こりました。
それら用に文字コードを修正した物も用意してみました。
Android・iPhoneユーザーの方はこちらをダウンロードしてください。
zipで落とせない人のためにSkyDriveでkifのまま公開した物もあります。

Android用は『Kifu for Android』で再生する事ができます。
iPhone用は『kif for iPhone』で再生する事ができます。


概要
・対振り飛車編
対四間飛車で第1図(下図)に組むまでの意味を一手一手解説しています。
ibiyouse1.jpg
その後、第1図の基本図に組んだ後、急戦・持久戦の根本の思想を簡単に紹介。
何故基本図まで組むのか?
基本図に組んだ後はどういった考えで戦法を選んでいるのか?
何故5七銀左が急戦で指されるのか?
対振り飛車では矢倉囲いは駄目なのか?

という事を簡潔に説明しています。


・対居飛車編
第2図のような矢倉に組むまでの大まかな解説をしています。
何故矢倉に組むのか?組むまでにどんな考え方、やりとりがあるのか?を知る事ができます。
ibisya2youse.jpg
横歩取り、角換わりなどを省いて矢倉戦のみに絞った駒組みを解説しています。

矢倉囲いの優秀さ、矢倉早囲いとはどういったものか?
対矢倉での棒銀の受け方、何故矢倉で端歩を突いてはいけないと言われているのか?
これらの事に絞って解説しています。

あまり難しい変化は書いていないので、気軽に読んで頂けると幸いです。


注意
・初心者にわかりやすく説明するため、意図的に緩手を指させたり、説明を省いている所があります。
 (対矢倉の▲3五歩の仕掛けの成否など)

・相居飛車の解説は、横歩取りや角換わりの展開は削っています。
 解説は矢倉絞り、矢倉に組むまでの簡潔な組み方を解説しています。

これを読み終えたら本格的な定跡を定跡書などで勉強していくのが良いでしょう。



・居飛車党養成講座ためし読み(対振り飛車編の一部)
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