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2手目△7四歩の世界

将棋世界4月号が発売しました。

第35期棋王戦第59期王将戦の観戦記が掲載されています。
最近は久保棋王の さばきのエッセンス の石田流の最新形講座、勝又六段の 突き抜ける!現代将棋、木村八段の これで矢倉は指せる、など講座面でも充実しています。
将棋世界は当たり外れがありますが、最近の内容は個人的に気に入っています。

そして4月号の付録『2手目△7四歩の世界』が今回のテーマです。
2手目△7四歩の世界
2手目△7四歩とは、中村修九段が1993年にプロで初採用した戦法で、最近は似た形を澤田真吾四段が採用して話題になりました。

具体手順は初手から▲7六歩 △7四歩!(下図)
2手目△7四歩戦法図
これが2手目△7四歩戦法の基本図です。
目的は力戦模様の相居飛車にする事です。
定跡化が進む現代将棋の穴を突いた戦法で、とにかく力将棋に持ち込みたい という人にはうってつけの戦法です。

まずは初登場となった中村九段の実戦譜を。
1993年 棋王戦 米長 対 中村修


将棋世界の付録『2手目△7四歩の世界』では対居飛車戦の指し方を中心に書かれています。
今回は『2手目△7四歩』を本格的に覚えてみたいという人のために、色々参考になる文献や実戦譜を紹介していこうと思います。

まずは対居飛車の実戦譜の紹介。


・2手目△7四歩対居飛車
1993年 棋王戦 米長 対 中村修
1993年 全日プロ 小林宏 対 中村修
2000年 NHK杯 加藤一 対 神谷


実戦例は少ないですが、7筋の歩を手持ちにして軽く動くという展開になります。
場合によってはひねり飛車風に。

基本一局の将棋で、2手目の奇抜さの割には均衡が取れています。


因みに初手から ▲7六歩 △7四歩 ▲5五角には△3四歩(参考図)で受かっています。
参考図△3四歩まで74f
参考図以下 ▲8二角成 △同銀(結果図)と進んだ局面はなんと後手十分。

結果図は△同銀まで74f
序盤は飛車よりも角 の格言があるように、序盤に角を持った後手が有利になっていきます。
先手は後手の次の△9九角成を受けなければいけません。

例えば結果図以下 ▲8八銀には△9五角(参考2図)で後手有利に。
参考2図は△9五角まで74fsenp
▲7七銀(▲7七桂)は△同角左(△同角右)からの三枚換えで後手有利。

この変化について書かれた棋書は、『居飛車奇襲戦法』の対居飛車△7二飛戦法(2手目△7四歩)に詳しくあります。

この戦法を最も詳しく掘り下げた本。
著者の井上慶太八段は、この2手目△7四歩戦法の応用『4手目△7四歩戦法』を採用していた時期があり、かなりのボリュームになっています。
2手目△7四歩を指すなら必須の一冊です。
この一冊があれば2手目△7四歩戦法の知識は十分です。

4手目△7四歩戦法と井上慶太八段の実戦譜は後で紹介します。


他には『奇襲虎の巻』にも、2手目△7四歩が紹介されています。
こちらは概要が軽く紹介されています。
序盤の乱戦の変化を重点に書かれています。
2手目△7四歩以外にもカニカニ銀や鎖鎌銀などが紹介されています。
上の『居飛車奇襲戦法』で事足りていますが、序盤の変化を保管したいならあると安心できます。


他に『ハメ手撃破戦法』に、▲7六歩 △7四歩 ▲5五角の変化一点に絞って紹介されています。

第9章の『角を吸い込む奇手』がそれです。
それほど深く解説されていないので、この本は必要ないでしょう。
『居飛車奇襲戦法』と『奇襲虎の巻』で事足りますが軽く紹介。


因みに二枚角の△9五角の展開は 2手目△4四歩パックマン戦法と展開がよく似ています。
パックマンの参考サイトを掲載しておきます。

二次元人の将棋術パックマン戦法に概要があります。
将棋の庭にもパックマン戦法の詳しい変化が。
実戦譜は非定跡党パックマン戦法のコーナーに。

パックマン戦法と、この2手目△7四歩二枚角型の変化はよく似ているので、形は少し違えど参考になるでしょう。
2手目△7四歩は先手の▲5五角を誘うという意味合いもあり、その点でも一発性のある面白い戦法です。


因みにもう一冊、2手目△7四歩について紹介された本があります。
続将棋戦法小辞典』でも初手▲3六歩戦法と一緒に2手目△7四歩戦法が紹介されています。

ですが△7四歩戦法については2pしか触れられておらず、中村修九段が△7四歩戦法を指した という事を軽く紹介している程度です。
この本は 矢倉 相居飛車 振り飛車 その他の番外戦法を軽く紹介する本なので、これは致し方ないでしょう。
むしろ△7四歩戦法を紹介しているという点を評価すべきでしょう。
△7四歩戦法を指す上ではそれほど需要のある本ではありませんが、多くの戦法の要点を上手くまとめて紹介している本なので、将棋戦法の入門書という意味では良い本です。


2手目△7四歩のプロの相居飛車の実戦は上記の3局だけで、これにて終わり!と言いたい所ですが、実は応用編があります。

初手から ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △7四歩(下図)です。
4手目△7四歩74f
先手の▲2六歩を見てから△7四歩と突く指し方です。
これは後に書きますが、後手2手目に△7四歩と突くと、先手に▲7八飛(参考図)と振られる指し方を嫌った意味があります。

参考図▲7八飛まで74f
以下△7二飛として一局で、何の問題もありません。
ですが"相居飛車の力戦"にはならないので、それを望む後手は先手の▲2六歩を見てから△7四歩と突く というわけです。

この4手目△7四歩の概要については、Golcondeの館4手目△7四歩戦法に詳しく書かれています。
要点を上手くまとめており、このページを見れば4手目△7四歩の特徴を掴めるでしょう。


この展開もプロの実戦例が何局かあります。
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △7四歩の展開は、2手目△7四歩から合流する変化なので当然参考になります。

・実戦例
1999年 順位戦 島 対 井上
1999年 竜王戦 森下 対 先崎
1999年 全日プロ 阿部 対 井上
1999年 順位戦 富岡 対 阿部
2002年 早指戦 深浦 対 井上
2003年 銀河戦 中川 対 井上
2004年 グランドチャンピオン 東野 対 細川
2004年 その他 森内 対 井上
2008年 王将戦 深浦 対 丸山


この4手目△7四歩戦法は、中でも井上慶太八段が多く採用しているようです。
井上慶太八段自身も『居飛車奇襲戦法』の本で△7四歩戦法を紹介しているので、自信を持っているのでしょう。

しかし4手目△7四歩戦法の勝率自体はあまり良くないようで、この形で後手が勝っているのは
1993年 全日プロ 小林宏 対 中村修
2004年 その他 森内 対 井上
の2局だけで、それが少し残念な所です。




この4手目△7四歩も一冊だけ棋書で紹介されています。
パワーアップ戦法塾』というB級戦法紹介本で紹介されています。

8pだけですが、4手目△7四歩の概要を知るには十分。

因みに『4手目△7四歩』について書かれているのはこの本一冊ですが、上記で紹介した『居飛車奇襲戦法』と『奇襲虎の巻』も4手目△7四歩の変化と合流しているので、実は全く同じだったりします。

ですが『パワーアップ戦法塾』は『居飛車奇襲戦法』『奇襲虎の巻』とは違う変化を掘り下げているので、この本もあれば欲しい所。
△7四歩戦法以外にも角頭歩、鳥刺し、かまいたち戦法など、本格戦法から奇襲戦法まで様々な戦法を紹介している本です。

4手目△7四歩を紹介しているサイトもあります。

・4手目△7四歩関係のサイト
Golcondeの館4手目△7四歩戦法
△7四歩戦法の概要を4つの型にまとめているので、非情にわかりやすいです。
この戦法の特徴を知るには、このページだけで十分。

将棋ペンクラブログ中村修七段(当時)「後手番二手目の可能性(4)・・・△7四歩編」
近代将棋に連載していた「将棋ペンクラブログ」のネット版。
2手目△7四歩について元祖中村修七段(当時)が語っていた記事を抜粋した記事。
当時の考え方や一部踏み込んだ変化が書かれており必見。他の記事も面白く、将棋ファンなら必見です。

非定跡党△7四歩戦法
マイナー戦法といえばこのサイト。
実戦譜がいくつかあります。

将棋異端戦法の研究第十一段~第十五段
軽くですが2手目△7四歩戦法が紹介されています。


これで対居飛車編は終わりにしたい所ですが、実はもう少しだけ続きます。

この△7四歩戦法が注目されるキッカケを作った男がいます。
それが澤田真吾四段です。

2009年にプロになった澤田真吾四段は、△7四歩戦法を少し違う形で出現させました。

初手から▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲7八金 △7四歩!(下図)
6手目△7四歩戦法74f
△3二金と▲7八金の交換を入れてから、6手目に△7四歩と突いたのです。
一手損角換わり模様の出だしとの組み合わせ。
タイミングは少し違えど、2手目△7四歩、4手目△7四歩と同じ流れになります。

・参考棋譜
2009年 順位戦 村田 対 澤田
6手目△7四歩の登場局。熱戦の末勝利。

2009年 順位戦 岡崎 対 澤田
澤田四段の2回目の6手目△7四歩。
この将棋も勝ち△7四歩戦法が話題になります。

2010年 順位戦 木村 対 森内
なんと森内九段も採用。
結果は残念でしたが、A級順位戦で登場した事で話題が高まります。



現在はこの3局だけですが、これからも指される可能性のある戦法です。
澤田四段と△7二飛戦法に期待したいと思います。


・対振り飛車編
△7四歩戦法は対居飛車なら一局の将棋。
ではもし先手が振り飛車できたら?

先手の▲2六歩を見てから△7四歩と突く。
これも良いかもしれませんが、変態一徹!2手目△7四歩一本で行きたい!という人もいるはずです。

初手の▲7六歩に△7四歩!さぁこれでどうだ と思った矢先、▲7八飛(下図)と来られた場合はどうするのでしょう。
参考図▲7八飛まで74f
次の▲7五歩を防ぐため、後手は△7二飛と受ける一手です。

以下は普通の振り飛車対居飛車の将棋になりますが、具体的にはどうするのでしょうか?
その一例を紹介していきたいと思います。

・実戦例
1993年 棋王戦 南 対 中村修
△7四歩戦法で味をしめた中村九段は△7四歩戦法を再び採用。
しかし▲7八飛と振られて一局の将棋に。

2009年 新人王戦 中村亮 対 小泉
なんと2手目△7二飛!
しかも勝ってしまうのが凄い所。
小泉祐三段は他にも2手目△7二金や2手目△6二飛、初手▲4六歩など物凄い手を指しています。



対振り飛車はこの2局だけですが△7四歩が注目されるにつれ、実戦例も増えていく事でしょう。


2つ実戦を紹介しましたが、対振り飛車には具体的にどうしたら良いのか?
後手の△7二飛のメリットは△8四歩~△8五歩の2手を省略している事です。

よって下の参考図のような飛車先不突棒銀(先後逆)を目指すのが有力でしょう。
飛車先不突棒銀74fa
飛車先を突いていないので、居飛車側の攻めが2手早いのです。

この局面は『手筋の裏技』の70pに紹介されています。

先手番初手▲3六歩戦法からの将棋です。
飛車先不突棒銀は、当然後手でも応用が利き△7四歩戦法との相性は良いでしょう。

先手初手▲3六歩の将棋ですが、飛車先不突きの実戦例を紹介します。


・飛車先不突(初手▲3六歩戦法)対振り飛車
1985年 女流名人戦 林葉 対 長沢
1991年 銀河戦 林葉 対 椎橋
1993年 倉敷藤花 林葉 対 森安多
1996年 新人王戦 先崎 対 藤井
2005年 その他 金内 対 出口


林葉直子女流棋士が多く採用しています。
力戦将棋が得意でこういった将棋はお手の物。




次に初手▲3六歩対振り飛車について研究サイトの紹介。

・▲3六歩対△3二飛の関連サイト
囲将会初手▲3六歩
軽くですが研究されています。

週間ドリームライブラリーあっ!と驚く、初手3六歩戦法
この戦法の出だしの部分を軽く紹介しています。
▲3六歩△3四歩▲3八飛に△4四角!の変化が書いてあるので目を通しておきたいところ。

将棋異端戦術の研究第六段~第十段
林葉流の紹介。


他には飯島流左美濃との組み合わせ(下図)も考えられます。
飯島流+△7二飛戦法7443
引き角に構える事で7五の地点に力を蓄えます。
以下△8四銀~△7五歩を狙って勝負。

この飯島流との組み合わせを実際に使っている人がいます。
勝率は悪くないようで、なかなか有力だと思います。

他にも色々な組み合わせが考えられ、△7四歩の世界は広がる一方です。


奇抜ながら可能性を秘めた2手目△7四歩。
プロでも指されるのだから、アマチュアならかなりの有力戦法になり得ます。

積極的に採用し、皆さんの手で2手目△7四歩の世界を作り上げていきましょう。
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