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定跡外し!横歩取り▲3三飛成戦法

横歩取り戦法は江戸時代から指され、現代まで指し継がれている戦法です。
その長い歴史の中、様々な定跡が生まれてきました。

その中でも少し前まで主流だったのが横歩取り空中戦法(下図)です。
yokofukuutyuu1.jpg
先手の横歩取りに対し△3三角と上がり、浮き飛車に構える後手。
内藤國雄九段が編み出した構えで、横歩取りの歴史に大きな進歩を与えました。

そしてその後、この空中戦法はさらなる進化を遂げます。
中原誠九段が得意とする中原囲い(下図)が登場し、それを組み合わせる事でさらに強力な戦法へと進化したのです。
yokofukuutyuu2.jpg
後手△5二玉型だと突きにくかった△5四歩がこの形ですと突きやすいのがメリットの一つです。
△5四歩が突ける事で先手の弱点である玉頭攻めを敢行しやすくなります。

その後、プロ棋界で切磋琢磨が繰り広げられ、定跡は進歩します。
空中戦法+中原囲いという陣形にも▲3五歩と角頭を狙われる弱点が付きまといます。
それを克服するため、新たなる戦法が生まれるのです。

それが中座真七段が考案した戦法、横歩取り△8五飛戦法(下図)、通称中座飛車と呼ばれる戦法です。
yokohutori85hi1.jpg
中段飛車に構えるという発想は今までの将棋に無く、画期的な新戦法として注目を挙げます。
何よりも印象的なのが、この戦法で丸山忠久九段が名人を取った事です。
現在のタイトル戦でも何度も登場する戦法で、流行り廃りはあれど今現在もホットな戦法です。

横歩取り△8五飛戦法の歴史については、最新戦法の話という本に詳しく書かれています。

どういう思想でこの戦法が生まれ、誰がこの戦法を育てたか、その経緯がわかりやすく書かれています。

上記の二つの戦法は、横歩取り△3三角戦法と呼ばれています。
他に横歩取り△3三桂、といった指し方もあり、後手が△3三角と上がった局面は作戦を明示した瞬間なのです。
しかし横歩取りは激しい変化が多く即終盤勝負といった展開になりがちで、研究勝負になりやすいのです。
定跡通りの展開にハメられ、力を発揮できずあっさり負けてしまう・・・といった事もしばしばあります。

しかし横歩を取らないのでは気合負けと考えている人も多いはずです。
せめて定跡を外して互角に戦える力自慢な手法があれば・・・。

それが存在するのです、今回紹介する横歩取り▲3三飛成戦法です。


・横歩取り▲3三飛成戦法

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲3四飛 △3三角(第1図)

yokohutori33hinari1.jpg
第1図までは横歩取り△3三角戦法の出だしで定跡通りの展開です。
ここで▲3六飛と引くのが通常の定跡ですが、今回は違います。

第1図からの指し手
▲3三飛成(第2図)

yokohutori33hinari2.jpg
なんとここでバッサリ▲3三飛成と飛車を切ってしまうのが今回紹介する戦法です。
こんな手が成立するのか?と思いますが、以下の展開を見てみれば案外いけるのです。
実はこの手、女流棋界でごく稀に登場しており実戦例もあるのです。
今回はその実戦例を紹介しつつ、この戦法の概要を見ていこうと思います。

第2図からの指し手
△同桂 ▲7七角打(第3図)

dai3zu77kakuyokohudori33.jpg
飛車切りから▲7七角打で三枚換えを狙います。
これに対して応手が△7六飛と△8二飛と△8八飛成の3つがあります。

第3図で△7六飛とするのは、以下▲3三角成 △同金 ▲同角成 △4二銀 ▲1一馬(変化図)と進み飛車と金桂香の三枚換えなので先手有利。

henkazu11uma33hinari.jpg

他に△8二飛と引くのも、以下▲3三角成 △同金 ▲同角成 △4二銀 ▲1一馬(変化図)と進みます。

yokohutori33hinari3henka.jpg
以下△8九飛成には▲8八馬で蓋をして△同龍 ▲同銀と進み角と金香の二枚換えで先手良しです。

上の△8二飛の変化図は実戦例が一つだけあり、先手が勝っています。
1972年 女流アマ名人戦 福崎 対 杉崎


よって第3図では△8八飛成と飛車を切る一手です。

dai3zu77kakuyokohudori33.jpg

第3図以下の指し手
△8八飛成 ▲同銀 △2七飛(第4図)

da4zu27hiyookhudori33hi.jpg
後手の△8八飛成という手に対し▲同銀と取りましたが、ここは▲同角も考えられるようで違いは微妙な所。
▲同角の変化は後に紹介するとして、▲同銀に対し△2七飛と後手も打ち込んで龍を作ろうとしてきます。
これに対して先手どう受けるかですが、▲2八歩と▲2八飛の2つの手があります。

第4図からの指し手1
▲2八歩 △2四飛成 ▲8三飛 △8二歩 ▲8六飛成(結果図)

kekkazu86hishnari33hi.jpg
先手が▲2八歩と打つと以下穏やかな進行になります。
後手も龍を作りますが、先手も龍を作った局面。

この局面の評価は、『龍を作り合い、先手は一歩得ながら角を手放してしまっているので、後手有利…と従来は言われてきたが、私見では実際指してみれば案外互角という気もする』と高橋道雄九段の自著の最新の8五飛車戦法で語っています。


手将棋が得意ならこういった展開に持ち込むのも手かもしれません。
戻って第4図で▲2八飛ならどうでしょうか。

da4zu27hiyookhudori33hi.jpg

第4図からの指し手2
▲2八飛 △同飛成 ▲同銀 △2七歩 ▲3九銀 △2一飛 ▲3八金 △2八角(結果図)

kekkazu28kakumade33hi.jpg
▲2八飛と打つと激しい変化になだれ込みます。
以下△同飛成 ▲同銀に△2七歩と打ちます、▲同銀と取れば△2八歩、△2八飛があるので▲3九銀と引きます。
後手は△2一飛~△2八角と打ち込み結果図。

こうなれば激しい変化となり難しい将棋となります。
激しい変化ですが研究しやすい局面なので、この局面の研究を絞っておくという手も有効でしょう。
どの変化も互角程度にはやれそうな感じで、採用する価値はあるのではないでしょうか。

他に第4図の▲2八飛に対して△2六歩と打つ変化はどうでしょうか。
これも実戦でありそうな変化です。
da4zu27hiyookhudori33hi.jpg
第4図からの指し手3
▲2八飛 △2六歩 ▲8二歩 △同銀 ▲2七飛 △同歩成 ▲2一飛 △4五桂
▲2二角成 △6二玉 ▲3一馬 △同金 ▲同飛成(結果図)

kekkazuyokohu33hidouhi.jpg
△2六歩と支えてくる手には▲3八金と受ける手もありそうですが、攻勢に転じる手があります。
▲8二歩 △同銀と壁形にさせてから飛車を取り▲2一飛。
この戦法は▲2一飛と打って勝負するのが狙いの一つです。
対して後手もぬるい手を指せば▲3三角成と王手で桂馬を取られるので△4五桂と逃げつつ活用する一手です。
以下▲2二角成から進んで上の結果図。

結果図以下は△5七桂不成 ▲3二竜 △5二角 ▲4一銀で形勢不明。
とにかく▲2一飛と打てれば勝負になります。


これにて今回の紹介は終了といきたいのですが、そうはいきません。
第3図に戻ります。
dai3zu77kakuyokohudori33.jpg
ここで△8八飛成に▲同角という手があります。
実は今までの実戦例は全て▲同角と取っているのです。
この違いは恐らく▲同銀だと先手の▲7八金が浮き駒になり、将来狙われる筋が生じる事を避けているのだと思います。
最後に実戦例の変化を少し紹介して終えようと思います。

第3図からの指し手
△8八飛成 ▲同角 △2七飛(変化1図)

henka2zu27hishamade1.jpg
後手は△2七飛と打ちましたが、△2四飛と控えて打った実戦例もあります。
1999年 女流王位戦 竹部 対 本田

長い将棋になりましたが激戦の末先手が勝っています。



△2七飛の方が実戦例も多く龍を作る積極性があり採用されています。
変化1図から実戦例は▲8二歩と▲2八飛があります。
▲8二歩と打った実戦は、以下△同銀と壁形にさせてから▲2八飛と打ちました。
1996年 倉敷藤花 竹部 対 清水

この一局以外は全て▲2八飛と対応しています。



再掲載変化1図
henka2zu27hishamade1.jpg

変化1図からの指し手
▲2八飛 △同飛成 ▲同銀 △2七歩 ▲同銀(変化2図)

henka2zudouginmade.jpg
強気に▲2八飛と合わせ、△同飛成 ▲同銀 △2七歩に▲同銀と取れるのが▲7九銀型の強みで、△8八飛成に▲同角と取った効果が出ています。
この変化を選ぶために△8八飛成に▲同角と取ったのです。
具体的な意味は、ここで▲8八銀、▲7七角型だと△2八飛が銀金両取りになってしまいます。

以下の変化は△4五桂と△2八飛が考えられます。

変化2図から△4五桂と跳ねた実戦は3局あります。
2000年 鹿島杯 竹部 対 中井
2000年 平成最強戦 松田 対 河原
2005年 女流名人戦 竹部 対 矢内




もう一つの変化の△2八飛と打つ実戦例は2局あります。
2002年 女流王位戦 竹部 対 石橋
2004年 女流王位戦 竹部 対 甲斐

以下先手は▲2一飛と打っていく展開となりました。


しかしながら実戦例を見てわかる通り、変化1図△2七飛以下の先手勝率はなんと0で一局も勝っていません。
やはり先手は通常の定跡形よりは損な形なので、勝ちにくいのも仕方ないのかもしれません。
この実戦例も踏まえて研究をして自分なりの戦い方を見つけるのがよろしいでしょう。

最後に横歩取り▲3三飛成戦法について書かれた書籍とサイトを紹介して終わろうと思います。



・横歩取り▲3三飛成戦法書籍
ひと目の横歩取り

横歩取りの基本手筋を次の一手形式で解説している、わかりやすい本。
△3三角戦法の定跡から、横歩取りノーガード戦法・横歩取り▲3三飛成などマニアックな変化もキッチリ掘り下げている良著。
横歩取り▲3三飛成についての変化が37ページ(p135~p172)と、かなり掘り下げられているので、先手後手どっちを持っても参考になる事は間違いないでしょう。
横歩取り党の方には、オススメの一冊です。



最新の8五飛戦法

横歩取り△8五飛戦法について書かれた本。
△3三角戦法に入る前の基本の指し方として1章の横歩取りの基礎知識のp12~p13で2ページほど解説されています。
横歩取り△8五飛についてわかりやすく噛み砕かれた本。
基本の▲9六角の変化にも触れているのでこれから△8五飛戦法を指そうと思う人にはオススメできる1冊。



今さら聞けない将棋Q&A

将棋のあらゆる基本的な疑問についてQ&A形式で書かれている本。
棒銀の基本的な受け方や横歩取り▲3三飛成の変化について2ページほど書かれています。
この戦法に対する対策の指針が書いてあり、この戦法に困らされている人にはこちらがオススメ。
将棋をある程度覚えて気になる疑問が出てきた人にオススメできる1冊。



完全版 定跡外伝 ~将棋の裏ワザ教えます~

これも4ページほど触れられている本。
横歩取り▲3三飛成側は踏み込んで互角なら面白いという結論になっている。
対策の手順も書いておりこれがあれば▲3三飛成についての知識は十分。
他にも意外と知られていない定跡外しな手が紹介されており、将棋の裏技を教えます というキャッチフレーズは嘘ではない。

自分の見る限りではこの3冊以外は▲3三飛成に触れられた本はありませんでした。
基本どの本も2~4ページほどでしか取り上げておらずマイナーな戦法のようです。




・横歩取り▲3三飛成研究サイト
横歩取り大辞典奇襲!横歩取り▲3三飛成戦法―狙い筋とその対策
横歩取りに関する変化を網羅しているサイト。
図も多く、深く変化を掘り下げているので横歩取り党はは必見のサイト。



横歩取り3三飛成戦法 簡単まとめ
この戦法についての概要を軽く書いているサイト。
これも知っておくと知識が広がります。



将棋LIFE竹部流
プロの将棋の検討を中心としているサイト。
他にも奇襲戦法やマイナー戦法についても、研究をされています。
横歩取り▲3三飛成の変化も紹介されています。
ここで触れられている某実況動画はこちら。(ニコニコ動画)




定跡通りの展開になりがちな横歩取りですが、それに対抗する定跡外しの一法としてこの戦法を研究してみるのはいかがでしょうか。
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